KISネイティブ論理脳」「脳機能的構造論」「記憶のプレート理論」
           MYamane           
         
およそ30年間、数理に特化した教室を運営しながら    
「出来る子とは?」とのテーマを持って研究をしてきました。  
         
小児教育については「学遊同源」の考えの下の教育実践を行い、「ずば抜けて  
出来る子供を輩出している。」との評価を父兄や専門家やの方々からも頂いてきました。
         
そして、数理教室運営の小児教育実践の現場から、考えました。  

 
   
     
上記の考えのもと、次のような比較データを取り続けて、あることに気づきました。  
そして現状をふまえ、過去の環境にさかのぼる調査を行いました。  
         
その結果、顕著な傾向が見えてきて、ある仮説が浮かんできました。  
「小児期にしか育たない論理力と言うものがあるはずだ」とするものです。  
         
         
その論理力を持つ脳を      
「ネイティブ論理脳」と名づけて、その存在を合理的に解するための  
「小児科学的脳の機能的構造論」を組み立ててみました。  
  またこの機能的構造論を明快に理解するための記憶の要素を  
「記憶のプレート理論」として組み立てました。    
         
現在解明されている脳の器質的研究事実に照らし合わせての、  
矛盾排除を東大算数研究会の若手研究者たちの協力を得て行ってきました。  
器質的な脳との整合性を高めた理論であると考えます。    
しかし非言語的な事柄を言語的に表そうとしているので、  
分かりずらい点もあろうと思いますが、ご理解下さい。    
         
         
         
         
この理論の教育的応用を考えると次の2点になると考えます。  
 ● 小児期にしか育たないネイティブ脳養成の教育を実践できること  
         
 ● ネイティブ脳の未熟なまま小児期を過ぎた人を判断して、  
    その人たちに効果的な言語的論理力強化を実践できる事  
ということです。      
         
         
①  ネイティブ論理脳定義  ------------------------------------------
         
1-a.  自分と脳と身体の考え方      
         
現代の科学では意識も脳あってのものですが、理論を理解していただく前提として、
人間を  意識 身体  
  個人の意識   身体の各細胞  
   
  王様 大臣 市民  
上図表の様に擬人化して、それぞれが独立した人格であると置き換えて  
考えていただくのが理解しやすいでしょう。    
器質的には脳に意識があるとするのが正しいのですが、例えば性同一性障害や  
多重人格障害を考える時には、意識と脳を別のものとして考えるのが  
考え易いのと同様に考えてください。    
         
1-b.  三位別体      
         
意識(王様)の従属であるように感じてしまう身体(市民たち)ですが、  
身体(市民たち)は直接に(王様)の指示を受けることはありません。  
脳(大臣)の介在があって、初めて王様の命令は市民たちに届きます。  
また反射や生命維持にまつわる事項は王様に相談されることなく、大臣が処理をします。
         
1-c.  細胞の独立性      
         
自分と言う王様の全ての命令に従うのではなくて、    
自律神経の役割もなす脳(大臣)大臣の命令に従うのです。  
残念ながらそれにも従わないガン細胞や、免疫細胞などの存在もあります。  
         
最近では、以前は脊髄を含む脳の神経系まで行って、    
そこから指示と考えられていた反射、例えば熱いものに触っての「熱っちち・」等も  
細胞レベルで脳に相談なくして独立的に反射していることもあるとの研究データもあります。
         
1-d.  理論では「自分」(意識や魂と呼ばれるもの)と「脳」は別人格であると定義します。
         
         
         
②  脳の機能的構造論  ---------------------------------------------
記憶の機能的構造     (記憶は脳が司る。)    
脳の機能的4重構造論(原始脳、動物脳、ネイティブ脳、人間の順に成長する)と連動していて、
原始記憶と記録的記憶とネイティブ記憶、編集記憶の4種類に分けて考えます。  
  原始脳 動物脳 ネイティブ脳 人間
  (連動) (連動) (連動) (連動)
  原始記憶 記録的記憶 ネイティブ記憶 編集記憶
  2-a 2-b 2-c 2-d
 
 
     
 
 
 
2-a.原始記憶 (原始脳)      
         
先天的なもので、DNA記憶と言われて、原始脳に存在する生命維持にかかわりの深いものを
中心としていて、本能などもその一つです。    
         
2-b.記録的記憶 (動物脳)      
         
後天的なもので、知覚される事象を5感覚で捉えた自動的記憶。  
滞留時間の経過と共に劣化する非言語的な概念記憶。    
         
2-c.ネイティブ記憶 (ネイティブ脳)      
         
成長の一時期にのみ(0~10歳)形成される、    
「自分だけの事象法則集」のような非言語的概念記憶です。  
母語であったり、トラウマと言われるものもこの記憶に属します。  
ネイティブ論理力を含め多くの基礎能力が含まれます。    
「なぜか」を説明できないけど「こうだ」と感じるものの多くはこの記憶です。  
例えば殺人はなぜしてはいけないのか?本人に請われてもいけないのか?などの倫理観や、
道徳であったり、「女の子はこうするものよ」と言った躾といわれるものもそうです。  
また癖であったり、考え方の基本もこのネイティブ記憶に含まれるのですが、  
記憶のプレート構造を理解していただいた後で、説明するのが理解しやすいと思います。
         
2-d.編集記憶 (人間)      
         
一般的に「記憶」とされるものであり、意識に影響されます。  
意識と言っても「これは覚えておこう」といったものや、「びっくりした」や恐怖であったり、
喜びなどの、意識に上ったインパクトの強いものと言っても良いでしょう。  
         
         
記憶の構造      
         
成長進化 原始脳

原始記憶
(2-a)
動物脳

記録的記憶
(2-b)
ネイティブ脳
非言語的

ネイティブ記憶
(2-c)
人間脳

編集記憶
(2-d)
欲求 生存欲 食欲
性欲
睡眠欲
安全欲
社会帰属欲
除苦欲
  高度化した要求
観察記憶 無意識に記録
されるもので進化に
大きく影響を与える
無意識に記録される   無意識に記録される
編集記憶       意識的に記録される

プレート理論
感情   快楽と苦悩の無意識
な知覚の評価
非言語的に 快楽と苦痛の
無意識な知覚に
対する無意識的評価
論理思考   非常に簡単な
非言語的論理
非言語的概念的論理構造式直感的

ネイティブ論理脳
言語的論理
成長時期     0~10歳 10歳頃から
現象 本能 5感覚で捉える? トラウマ

びっくり!!!
恐怖
喜び
補足資料1 : 記憶の喚起と忘却について ------------------------------------------
         
大脳皮質に保存される記憶の形態については、    
私どもの「プレート記憶理論」で詳しく話します。    
         
他の脳細胞に比べて、大脳細胞だけは外からの刺激がないと知的成長がないと言える。
         
         
補足資料2 : 記憶の機能的分類  ---------------------------------------------
         
記憶の「脳内滞留時間」と、「器質的滞留の仕方」によって、  
短期記憶・中期記憶・長期記憶の3つにも分類されます。  
         
A.短期記憶      
         
概念的な電気的な記憶と考えるのが適当です。滞留する時間は秒単位です。  
意識をすることによって中期記憶に移行します。    
日々の生活、読書、会話等はこの短期記憶によって成立します。  
         
B.中期記憶      
         
ホルモン記憶と言えます。      
インパクトの強さによって短期記憶から移行した物質的な記憶ですが、  
数分から数時間脳内に滞留します。    
         
C.長期記憶      
         
インパクトの強さによって中期記憶から移行する新しい脳の回路です。  
         
D.記憶の保存      
         
観察記憶の残留物と編集記憶の長期記憶となったものが、いつまでも忘れられない記憶です。
         
E.観察記憶と編集記憶      
         
観察記憶は非言語的な概念的なものであり、編集記憶は概念記憶(抽象記憶)と対象を持った
言語的な具象記憶の複合記憶です。    
         
補足資料3 : 記憶と広義の意味の学習と思考  --------------------------------
         
「学習とは記憶をすることだ」と言えますが、もちろん丸暗記をすると言うことではありません。
「一度は理解して、その後忘れた時に残るのが学習の成果です。」  
このことについてはプレート理論でお話します    
         
         
補足資料4 : 記憶を生成する海馬  ------------------------------------------
         
記憶は大脳皮質の中の新皮質と古皮質のうちの、古皮質の一部である海馬で作られます。
         
大脳辺緑系と呼ばれたりもします。新皮質に比べると器質的にかなり単純構造なので
基礎的メカニズムは解明されるでしょうが、「何が記憶されているか」については  
解明できるのもずっと先の話でしょう。    
         
海馬は記憶を生成したり、一時保存は出来るようですが、長期的な保存、  
すなわち長期記憶の保存場所は大脳皮質であろうと言われていますが、  
これも解明には程遠く感じます。      
         
中期記憶までのレベルの記憶は大脳皮質ではなくて、    
海馬で行われていると私どもの研究室では予測をしております。  
         
         
③  「記憶のプレート理論」  ------------------------------------------
         
編集記憶は概念記憶と具象記憶に分類できます。    
先に言いましたが新経験をすることが広義の学習です。そして学習とは記憶をすることです。
「一度理解をして忘れたときに残っているものが学習の成果である。」と言いましたが、
         
正確には学習成果の半分ですと言うのは残っているのは概念記憶だからです。  
そして概念記憶は空のお皿とお皿を結ぶ関係式といった、それだけでは  
意味を持たないものです。例えば数学のY=AX+Bの関数式のようなもの  
(あくまで様なものです。実態は非言語的なものですから)であり、  
具象記憶である対象物がお皿に乗った状態でやっと意味を成すのです。  
この数式は(玄関の靴の数)=(足の数)×(来客の数)+(家族の靴の数)と  
応用することが出来ますが、カッコはお皿(プレート)です。  
         
例えば「お客さんが3人で、家族の靴が4」だったとすると    
10=2×3+4  *靴の右を1、左を1として考えています。  
となるわけですが、実際の生活上にこのような式は浮かんでこないでしょう。  
         
家に帰って玄関に見知らぬ靴が6つあれば、    
「あっ。お客さんが3人だ」と直感的に分かるでしょう。    
これが簡単な論理構造が出来た、プレートの関係式)できたと言うことです。  
         
         
論法や複雑な論理      
         
自分の頭の中で論理を組みたてるのは、プレート式同士をいかにつなぎ  
合わせるかと言うことです。他人にこの論理を説明するのは言語的にする別作業が必要です。
物事を上手に伝えられなくて、いらいらしたりするのは、    
自分の頭の中で完成しているプレート式に言語的対象物が言語力の乏しさで  
上手に乗せられないことです。      
         
次に、この非言的な概念をいろいろな角度から言語的に表記します。  
         
         
3-1. お皿とお皿を結ぶ関係式。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  
         
何も乗らないお皿同士のネットワーク(PLATS)は非言語的な概念同士を結ぶ関係式で
「なんかこんな感じ」としか意識することが出来ません。    
その皿の上に対象(OBJECT)が乗ったときに具体性がでます。  
         
         
3-2. 自分のうちの玄関 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  
         
自分のうちの玄関や人の顔を見て    
「何かが違う。でも何が違うのか分からない」などというのは、プレート記憶は存在するけど、
プレートの上に対象が乗っていない状態です。    
         
         
3-3. 度忘れ -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
(自分の友人)-(商社に就職した)-(    )名前を忘れてしまった。  
人の名前を忘れてしまったときに、誰かが「何々さんのこと」と言うと、  
「そうそう」と言う現象、忘れていたのに分かると言う不思議な現象とされていますが、
プレートで考えると分かりやすい。    
         
         
3-4. 思考 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
思考とは意識という自分が、「記憶という対象記憶」と    
「対象記憶同士を結びつける関係式記憶」(プレート)の「思い出し」と  
「あいまいな当てはめ」に基づいて、自己の脳又は他人と会話することだと言ってもいい。
         
         
3-5. 思考とは会話 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
思考とは自分(意識)と他人又は自分の脳の会話であると考えられます。  
非言語的に自分の脳と会話したり、自問自答といって言語的に自分の脳と会話したりします。
         
         
3-6. 論理力とは -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
自分の経験(学習)したことで出来上がったプレート式にあいまいな置き換えをすることです。
         
         
         
3-7. ふと気づく -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
忘れたことを覚えていると言うのは、プレート式のプレートの上に者が乗っていない状況です。
そして「脳は揺らいでいる」と器質的研究者が言いますが(脳波もそうです。  
アルファー波であったり、ベーター波が出現します)    
これは動いているお皿に物を投げ乗せるのに似ています。  
シーター波が出ているときにはプレートもゆっくりと動いているので、お皿にものが
乗せやすいのです。脳波的に落ち着いているときに「あっそうだ!」のもこの理由です。
         
         
3-8. お汁粉にめざしを入れる -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  
         
これは実際に経験しなくなくても、プレート式に近しい経験があって想像できて  
「まずいだろう」と思います。過去に「まずい」経験をしていない人にはわかりません。
         
         
3-9. 【0.5】⇔【半分】⇔【1/2】 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  
         
0.5と半分と1/2の間にはそれらを繋ぐ概念があるはずです。  
0.5=1/2と覚えているからなのではないでしょう。同様に日本人が、「グッドモーニング」とか
「サンキュー」というのは誰も、おはよう=グッドモーニングだからとは考えてはいないはずです。
グッドモーニングについてはネイティブスピーカーになっているのでしょう。  
         
「自宅の電話番号を英語で言ってみてください」とお願いしても、  
即座にスムーズに返ってこないケースがほとんどですが、  
これはプレート式が出来上がっていないと言うことでしょう。  
         
         
3-10.【0.125】 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*    
         
東大数学科大学院のあるものが、仲間で1/8を電卓ではじいたとびっくりした話が
ありますが、単純に知っていたかどうかの話です。    
両方で記憶していたとの話です。    
ではプレート式の基礎を作るネーティブ期に、非言語的プレート式をはぐくむかですが、
これは最低限の言語を用いながら、意識的に考えさせることしかありません。  
         
論理力を育てる上で重要なのはより身近な「たとえ話」です。  
いい先生とはより身近なたとえ話の出来る先生であり、いい教材とは  
身近なたとえ話が書かれているものです。だからオールマイティーはないでしょう。